世界有数の人気を誇るカフェブランドと言えば、スターバックス。こだわりぬいた焙煎方法や豊富なカフェメニューが、国や文化を越えて、今もたくさんのファンを生み出し続けています。
ネスレは、コーヒーを飲む方ならすぐに名前が思い浮かぶ、定番メーカーの1つではないでしょうか。スーパーやコンビニ、百貨店やネットショップなど、販売店のほとんどで商品を見かける人気メーカーです。
この記事を読んでいる人は、
- スターバックス商品なのに、販売元が「ネスレ」のものがあるのはなぜ?
- スターバックスとネスレってどんな関係なの?
- ネスレはどんなスターバックス商品を販売しているの?
という疑問を持っている方ではないでしょうか。
この記事では、スターバックスとネスレの会社紹介、グローバルライセンシングとは何か、両社の関係や、ネスレが販売しているスターバックス商品などについて解説していきます。
競合した会社は、決してライバル関係ばかりではなく、一緒に商品開発や社会貢献活動を行うこともあります。商品のブランドと販売元を見るだけで、意外な協力関係を発見することもありますので、スターバックスとネスレ、どちらが好きな方も参考にしてみてください。
スターバックスの会社紹介
ここでは、スターバックス コーヒー ジャパン株式会社について紹介します。
スターバックスの主な沿革
スターバックスコーヒー1号店は、1971年にワシントン州シアトルでオープンしました。カフェとしてのスタートから、およそ10年後の1982年には、地元シアトルのレストランやエスプレッソバーへのコーヒー提供へと展開しています。
スターバックスはコーヒーへのこだわりのみならず、新しいビジネスモデルの採用にも積極的でした。1991年には、アメリカの民間企業で初めて、従業員に自社株購入権を提供するビーンストック制度を開始しています。
スターバックスジャパン株式会社が日本で設立されたのは、1995年のことでした。アメリカのスターバックスインターナショナル社、日本の株式会社サザビーの2社が提携し、日本での店舗展開を目的とした合弁事業として実現させています。スターバックスが北米以外の店舗展開を図るのは、日本が初めてのことでした。設立翌年の1996年8月には、日本でのスターバックス1号店となる銀座松屋通り店がオープンし、2023年9月時点では、日本国内だけで1,885店舗に及ぶシェアを誇っています。
スターバックスはコーヒー事業の拡大とともに、慈善事業や環境保全、バリアフリー活動への取り組みを積極的に行っている企業としても有名です。
スターバックス/メイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパン パートナーシッププログラム
2003年3月、難病に立ち向かう子どもたちへの支援を行うボランティア団体メイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパンと共同で寄付活動を実施しました。
Bring My Cupキャンペーン
2009年9月、環境保全を目的としたエコ活動として、マイカップ持参の来店客を対象に、資源節約のお礼としてコーヒー代を値引きするキャンペーンを行いました。
LEED認証
2010年12月、日本国内での小売店舗として初めて、福岡大濠公園店・京都リサーチパーク店の2店舗が、優れた環境デザインや建築を評価するLEED認証を取得しました。
CUPファンドジャパン
2011年10月、東日本大震災を契機として、地震などの天災で被災した従業員たちへの支援活動を行うべく、一般財団法人CUPファンドジャパンを設立しました。
再生利用事業計画(食品リサイクルループ)
2013年3月、「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」に基づく「再生利用事業計画(食品リサイクルループ)」認定を取得。業務の中で出るコーヒー豆かすを飼料や肥料として再生利用する食品リサイクルループを実施しています。
「YES,WE DO KYOTO!」プロジェクト
2016年11月、地方自治体と共同で、エコなライフスタイルを世界に発信するプロジェクトを設立しました。
若者支援プログラム
2017年5月、NPOカタリバの出張授業に、スターバックスのバリスタが参加し、高校生の悩みに寄り添う共同プログラムを実施しました。
ハミングバード プログラム
2020年3月、みちのく未来基金を通じて東北の震災遺児の進学支援を行うハミングバードプログラムを拡大。公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンへの寄付を追加することで、経済的な困難を抱えた子どもたちへのサポートを実施しました。
レインボー学校プロジェクト
スターバックスは若者や教育関係者へ多様性やLGBTQ+について理解を深める出張授業を提供し、レインボー学校プロジェクトをはじめとした、性の多様性に対する取り組みが評価され、「PRIDE指標」(任意団体work with Pride主催)最高評価の「ゴールド」受賞しました。
引用:スターバックス公式サイト
スターバックスの代表的な商品
スターバックスの公式サイトでは、カテゴリ毎に商品が掲載されています。
- ビバレッジ
- フード
- コーヒー豆
- ティー・紅茶
- タンブラー&マグカップ
- グッズ
- コーヒー器具
- ギフト
店舗で購入できる商品から、オンライン限定や期間限定で販売されている商品も掲載されています。コーヒー豆だけでなく、おしゃれなマグカップやトートバッグ、日本ではありがたい年賀状なども販売されているようです。ぜひチェックをしてみてください。
引用:スターバックス公式サイト
ネスレの会社紹介
ここでは、ネスレ日本株式会社について紹介します。
ネスレの主な沿革
ネスレは1866年、スイスで創業されました。その後、ネスレ・アングロ・スイス煉乳会社としての事業活動の中、1913年、世界拠点の一つとして横浜に日本支店を開設しています。当時の製品は輸入に頼っていましたが、1933年、淡路島の藤井煉乳と提携することで、ネスレ製品の国内生産体制が整いました。
1950年にはネスカフェの輸入が開始され、1961年のコーヒー輸入自由化をキッカケに、輸入したコーヒー豆でネスカフェの国内生産をすべく、1965年に姫路工場が完成します。ネスカフェの人気は破竹の勢いで、1973年には静岡の島田工場が完成し、ネスレ日本の事業規模を大きく成長させました。1978年に完成した霞ヶ浦工場では、ネスレミロ、ネスレブライトが中心に生産され、日本の食卓とネスレ製品の距離がより一層近づいています。
ネスレはコーヒーだけでなく、様々なジャンルの商品をグループに受け入れながら、環境保全や食品と健康の関係を研究し、次代に繋ぐ企業活動をしています。
フリスキー株式会社(現ネスレピュリナペットケア)
1985年、アメリカのカーネーション社がネスレに参加し、ネスレ日本も日本カーネーション社を受け継いで「フリスキー」ブランドでペットフード市場に参入しました。
ネッスルマッキントッシュ株式会社(現コンフェクショナリー)
1989年、イギリスのロントリーマッキントッシュ社がネスレグループに参加し、日本でも合弁会社としてネッスルマッキントッシュ株式会社が設立されました。ロントリーマッキントッシュ社の参加により、キットカットやCRUNCHなどがネスレ商品に仲間入りします。
ペリエジャポン株式会社
1992年、フランスのペリエグループがネスレに参加し、1994年には、ネスレ日本が日本法人ペリエジャポンを受け継ぎました。これにより、「コントレックス」「ヴィッテル」「ペリエ」などのミネラルウォーターのブランドが加わった事業展開が始まります。
ネスレ栄養科学会議
2005年、日本の大学研究所における栄養科学研究の振興、科学情報の伝搬に貢献することを目的に、ネスレ栄養科学会議が設立されました。
ノバルティスニュートリション
2007年、スイスの大手医薬品会社であるノバルティスのヘルスケアニュートリション部門をネスレが取得します。これに伴い、日本でも医療機関や介護施設、在宅介護を対象とした事業展開が実現し、栄養・健康・ウェルネス企業への飛躍を遂げました。
ネスレ リサーチ東京
2009年、国立大学法人東京大学と共同で、ネスレ リサーチセンターが総括寄付講座「食と生命」を設立しました。
引用:ネスレ日本公式サイト
ネスレの代表的な商品
ネスレの公式サイトでは、ブランド毎に商品が掲載されています。
- ネスカフェ
- ネスプレッソ
- ブライト
- ミロ
- キットカット
- エアロ
- マギー
- ピュリナ
- ネスレヘルスサイエンス
取り扱っている商品ジャンルの広さという強みを生かして、ネスレ公式サイトでは商品を使ったレシピの紹介ページがあります。時短が重視される現代、レシピ提案は忙しいお母さんから一人暮らしの学生までありがたいコンテンツではないでしょうか。献立に迷った時にぜひチェックしてみてください。
引用:ネスレ公式サイト
スターバックスとネスレの関係性
以下の引用の通り、スターバックスとネスレは業務提携の関係です。
この業務提携によって、ネスレからのスターバックス商品販売や、ドルチェグストにスターバックスのカプセルのラインナップ入りが実現しています。
“ネスレとの提携について
2018年8月にスターバックスとネスレは、グローバルライセンス契約を締結しました。この提携のもと業務用フードサービス チャネルにおいてネスレは、スターバックス®製品(液体飲料製品を除き)を販売する権利を有し、両社は同フードサービスにおけるスターバックス®ブランドの世界的な発展とその拡大に取り組んでいます。
We Proudly Serve Starbucks® コーヒープログラムは、
スターバックスの強みであるブランド力に、ネスレの世界有数の食品飲料企業としての流通専門知識を組み合わせて強化しました。
両社の協力体制により We Proudly Serve Starbucks® コーヒープログラムは、ビジネスに適したコーヒーソリューションの支援やバリスタのトレーニングに取り組んでいます。また幅広いメニューの拡充や季節のおすすめの提供など、ビジネスの全体の拡大のためにパートナーシップを強化していきます。
ネスレコーヒーパートナーズは、専任のプロジェクト管理、強力なサプライチェーン機能とカスタマーサービスなど、ビジネスのすべてのレベルで卓越したアカウント管理サポートをご提供いたします。”
引用:We Proudly Serve Starbucks®公式サイト
ライセンス契約とは
ライセンス契約とは、主に技術や商標、ブランドなどの使用権を与える契約のことです。使用権を与える側を「ライセンサー」と呼び、使用権を受け取る側を「ライセンシー」と呼びます。スターバックスとネスレの場合では、スターバックスが「ライセンサー」、ネスレが「ライセンシー」です。
企業同士のライセンス契約では、使用料などの金額や、契約期間などが決められます。スターバックスとネスレの場合では、契約期間は無期限、契約金額はおよそ72億ドル(約7900億円)での合意だったそうです。
スターバックスのライセンス企業について
スターバックスの特徴は、フランチャイズチェーンとは違う「ライセンス店舗」というビジネス展開です。スターバックスのライセンス事業では、ライセンス店舗を展開する具体的な立地として、『駅・空港・高速道路のSA/PA・レジャー施設等(直営店の出店が困難な場所)を想定しています』と明言しています。
スターバックスの店舗展開における、日本のライセンス企業は下記の4社です。
- 全日空商事株式会社
- 株式会社TSUTAYA STORES
- 株式会社ジェイアール東海パッセンジャーズ
- エームサービス株式会社
引用:スターバックス公式サイト
スターバックスとネスレのライセンス契約により、自宅でもスタバカフェの味を楽しめます!まとめ
この記事では、スターバックスとネスレの会社紹介、グローバルライセンシングとは何か、両社の関係や、ネスレが販売しているスターバックス商品などについて解説してきました。
企業活動として、環境保全やボランティアに積極的なスターバックスと、商品ジャンルの多角化から、食と健康の研究に力を入れるネスレ。アプローチにそれぞれの個性がありますが、業務提携も納得の2社ではないでしょうか。
当たり前のように食卓に並ぶ商品も、実はいろいろなメーカーのコラボ商品かもしれません。機会があればぜひ調べてみてください。
なお、このブログでは「1つのカプセルでドルチェグストの2回目以降の抽出は可能なのか?」など、ドルチェグストについて踏み込んだ内容を解説した記事もありますので、ぜひ参考にしてみてください。
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